芸術品のように美しい磁器を作られている、かいらあけみさん。
長く陶芸に携わられてきたかいらさんに、作品の制作のお話をお聞きしました。
ーかいらさんが陶芸と出会ったきっかけを教えてください。
デザインの専門学校を卒業したあと、大阪の化粧品会社でパッケージデザインの仕事をしていました。その時に焼き物などを見て、色などを参考にすることはありましたが、 直接的な関わりはありませんでした。
あるお休みの日に地下鉄に乗っていて、ルーシー・リー(※イギリスの女流陶芸家)のポスターを見たんですね。その作品に衝撃を受けて、目的地を変更して美術館に足を運んだんです。その時に、いつか本格的に陶芸をやってみたいと思いました。
その後、陶芸なら一生の仕事にできるかなと思い、会社を辞めて岐阜県多治見市にある〈陶磁器意匠研究所〉というところで2年学びました。
ールーシー・リーとの出会いが大きかったんですね。
デザインの専門学校時代にも陶芸の授業はありましたが、釉薬や土も決まったもので、一通りの事しか習うことができなくて、面白いとも思えず…どちらかというと苦手でしたが、ルーシー・リーには感銘を受けましたね。
それがきっかけで陶芸を始めてから、その奥深さを知りました。ルーシー・リーに人生変えられた人は多いと思います。陶芸を始めた頃はよくルーシー・リーの作品を真似していました。
ーそこから作品はどのように変わってきたのですか?
最初は陶土ですごくカラフルなものを作っていました。だんだん陶土と磁土の中間のような土を使うようになって、その後どんどん白いものが作りたくなり…今では磁土を使うようになりました。
今は磁土が好きですが、とても神経を使います。磁器って白さが命で、ひとつの鉄粉でも吹いていると失敗になってしまいます。掃除にも気を付けなければいけないですし、神経質になりました笑。
ーとても繊細な模様の作品ですね。
これは「描いているの?」ってよく言われますが、描いているわけではないんです。型に土を押し付けて、この細かい筋の模様を付けています。そこに呉須で色をつけます。
タイトルもfeeling(フィーリング)と言うことで、その時の気持ちを表現しています。
ー独特な風合いですね。
色を付けてから拭き取っているので、拭き取り方によって色の出方が違ってきます。
そのあと金の上絵をつけたり、ガラス質の青色をつけたり、手間がかかってます笑。
ー作品もいろいろなものがありますけど、どのようなところから発想されるのですか?
私には子供がいるのですが、アクセサリーなどは子育ての合間にちょこちょこっと作れるので作り始めました。あとお酒が好きなので、酒器を作るのも好きですね。
土に何か力を加えた時に何ができるのか、土にしかできない形を求めています。 これを作ろうというよりは、言葉より先に手が動くような、粘土遊びをしていてこれができたというような感じです。
ー陶芸教室などでも教えていらっしゃるんですね。
前は母校で教えていました。生徒さんのいいところを見つけてあげて、そこを伸ばせたらという気持ちでした。毎年新たな生徒さんが来るので、私自身も気を引き締められていました。生徒さんが慕ってくれたりすると、こちらも頑張らなきゃと励まされました。
卒業してからも遊びに来てくれたり、卒業後は助手になってくれたり、ありがたいなぁと思います。
そんな卒業生や、作品を買ってくれるお客さまなど、人に恵まれてきたなぁと思います。だから長く陶芸を続けてこれたのだと思います。
ー今後チャレンジしていきたいことはありますか
実は陶芸とは違うのですが、今児童文学を書きたいと思っています。最近になって、昔そんな夢があったなとふと思い出して、できることをやってみたいと。
まだ始めたばかりで勉強中です。ものづくりが好きなので、今度はかたちを変えて、それが続いていると解釈しています。いつか陶芸の話も書いてみたいですね。
陶芸を教わった時に、技術は後からついてくると言われたのですが、それが今よくわかります。なんでも時間をかけてやればうまくはなっていくと思います。それに人生経験が加われば、表現力につながっていくのではないかと思います 。
児童文学でも、経験があるからこそ表現できるものがあるんじゃないかなと考えています。
ーこれからの作陶活動、そして将来陶芸の物語を読めるのをもしみにしています。
今日はありがとうございました。
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