購入した陶器や作った陶芸作品は、汚れがつきにくくなるように、どうお手入れすればいいの?
洗うときに気を付けなければいけないことは?
レンジや食器乾燥機、食洗機を使っても大丈夫?
長く使いたい大切な陶器だからこそ、しっかりお手入れの方法を知っておきましょう。
お手入れの基本5つのポイントをお伝えします。
①使う前に…目止めをしよう!
まず、手に入れたばかりの陶器は、初めて使う前に目止めという作業をすることをおすすめします。
というのも陶器は磁器に比べて目が粗いので吸水性があり、濃い色の食材などをすぐに入れると色が移ってしまったり、においの原因になったりするのです。
陶器の土鍋なども、はじめに目止めをすることで、ひびなどを防ぐことができます。
【目止めの方法】
大きな鍋に、うつわとうつわが隠れるほどのお米のとぎ汁を入れて弱火にかけます。
沸騰させたら、そのまま冷まします。ぬめりを洗ってしっかり乾燥させると完成。
とぎ汁がない場合は鍋にたっぷりの水に片栗粉大さじ2ほどを入れてもとぎ汁の代わりになります。
この目止めをすることによって、表面がコーティングされ、汚れやにおいがつきにくくなります。
また使う前にその都度、お湯や水に浸けておくのも効果があります。5~10分浸しておくと、油じみなども防いでくれます。
②大切なうつわを使ったあとは…
汚れにくい準備を行っていても、食べ終わったらすぐに洗うということが大切です。
特に使い始めの食器は汚れが付きやすいので気を付けましょう。
汚れてしまった時にはハイターなどキッチン用の漂白剤も使えます。
洗う時に注意しなければならないのは、つけおき洗いを避けること。
水のなかに長時間浸けておくと陶器が水を吸ってカビやシミになることもあります。
また、通常の陶器は洗剤を使用しても大丈夫ですが、土鍋などは素地の目が粗いため洗剤を吸ってしまうおそれがあるので、使わない方が無難です。
【貫入とは】
貫入といって表面にひび割れ模様が入ることがあります。
この貫入は土の部分とガラスコーティングの釉薬の部分の膨張率の差で起こります。
温度差が大きいと膨張率の違いから貫入が入りやすくなるもの。熱いものを入れるときは、ぬるま湯に浸けるなど、温度差を緩やかにすることで防げます。
ただこの貫入も陶器の味の一つでもあるので、時が経つにつれて変化する表情を楽しんでみるのも良いかと思います。
③電子レンジは使える?
陶器は電子レンジは使用しない方がいいです。
陶器は水分が多いものなので、温めたときに陶器内の水分も急激に温められてダメージを受けて割れてしまったりすることもあります。
磁器なら電子レンジの使用もOKです。
また、作るときに釉薬の上から絵付けした「上絵」のものや、金や銀をあしらった金彩、銀彩のものは、磁器でも電子レンジは使えないので注意してください。
④食洗機は使っても大丈夫?
大切なうつわの食器洗い機の使用はおすすめしません。
高圧の水によって食器同士が接触し、ヒビが入ったり欠けたりするおそれがあるためです。
それでも使いたい場合はなるべく器の間隔をあけておくなど、工夫するといいかもしれません。
また、食洗機の乾燥が終わったあとは湿度、温度が高いため、入れたまま置いておくとカビや匂いなどの原因になることも。
使用後はすぐにふたをあけて、しっかり乾燥しておきましょう。
乾燥するときには上下さかさま、高台が上になるようにしてください。
というのも、器の底の釉薬がかかっていない部分は水分がたまりやすいのです。
④収納の時も注意!
食器を重ねて入れる方も多いと思いますが、陶器同士が当たることによってヒビが入ったり破損の原因になることも。
間に紙や布を挟むことで対策できます。
また、湿気の多い場所に入れたままにするのも避けてください。
【メタルマークについて】
陶器が金属のカトラリーと擦れることによって、灰色の細かい筋状のキズがつくことがあります。
これは陶器より金属の方が柔らかいために、金属が削れてその跡が残ってしまうもの。
特にマットな釉薬のものや釉薬がかかっていない陶器につきやすいです。
専用の除去剤などもあるようですが、木製のカトラリーを使うなど、予防策をとった方よさそうです。
⑤釉薬別注意点
陶器のうわぐすり、釉薬によって特徴があるので、知っておくと便利です。
変化が出やすいものをいくつかご紹介します。
【銅系】
釉薬で織部やトルコ青など銅系のものは、酸性でまれに変色するおそれがあります。
梅干しやレモン、お酢などを入れるときは注意です。
【マンガン系】
マンガン系釉薬(濃い褐色系の作品が多い)はまれに水道水のカルキなどと反応して水染みがつくことがあります。
洗ったあとは布巾などですぐに水分を拭いてから乾かすと安心です。
【焼き締め】
釉薬のかかっていない焼き締めの陶器は油じみができると落ちにくいので注意してください。
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基本的な扱い方をご紹介しましたが、作品によって違うことがあります。
もし気になった場合は購入時、クリエイターさんにお聞きください。
大切に長く使って、少しずつ表情を変える陶器の経年変化も楽しんでくださいね。
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