陶芸で重要な焼成作業。
焼く、と一言で言っても、とても時間も労力も要する作業。
またこの焼成によって作品が大きく変わる工程で、奥が深いのです。
ここでは陶芸初心者に知ってほしい焼成作業、どんな窯で、何度で何時間焼くのか、その注意点などご紹介します。
【焼き方】
陶芸作品は、基本的には2回焼きます。
①素焼き(700~800℃)
②本焼き(1200~1300℃) ※釉薬などによっても変わります
→それぞれの焼きの意味やくわしい過程はこちら
窯の温度を急激に上げてしまったり、まだ熱い作品を急に冷ましてしまったりすると、作品が割れてしまうおそれがあるので、半日~数日ゆっくり時間をかけて焼きます。
焼く前には、作品を窯に入れる、窯詰めの作業がありますが、これも重労働。
窯の中の温度のムラをなくして順調に昇温するためにも、経済的な観点からも、できる限り作品を詰めて焼かなければいけません。
重い棚板を重ねながら、立体パズルのように並べて焼いていきます。
ちなみに素焼きは重ねて焼くことができますが、
本焼きは作品一つ一つが重ならないように気を遣わなければいけません。
【窯の種類】
陶芸の窯といっても電気や灯油、ガス薪窯などいろいろなものがあります。
◎電気窯
炎ではなく電熱線で温度を上げる窯。
音も煙もにおいも出ないので、マンションなど一般家庭でも設置可能。
初心者でも扱いやすい。
◎灯油窯
燃料は灯油。炎の出方が均一ではないので、焼き加減によって趣のある作品になる。
◎ガス窯
ガスが燃料。比較的焼きあがりが均一。
◎薪窯
薪を燃やして火をおこして焼く昔ながらの焼き方。
薪や藁の灰が自然釉になって焼き物ならではの風合いになる。
火入れから窯出しまで数週間かかることも。
電気窯は全自動で温度管理をしてくれるので、温度設定をしてスタートボタンを押すだけで手軽。
都市部などでは電気窯が多いようです。
一方、炎が出る窯は焼き加減によって出来上がりの感じが変わってきます。
それがありおもしろさでもあり、炎にしか出せない風合いを好む陶芸家の方も多いです。
いつも私は電気窯を使用しているのですが、以前、灯油窯での本焼きの焼成作業に立ち会いました!
なかなか大変な、でもわくわくするひとときでした。
ここからは本焼き焼成リポートをお伝えします!
当日は早朝から陶房へ。
あらかじめ釉薬をかけておいた作品を、窯のなかに詰めていきます。
そして火入れ。
点火したあとは温度管理が大事です。
炎の様子を見ながら調整していきます。
1時間に100℃ずつ、ゆっくりと温度を上げていく作業です。
30分ごとにちょこちょこ窯の様子を見に行き、昇温グラフをつけながら炎の大きさを調整します。
昼にもなると外も暑いし窯も熱いし、灼熱地獄のサウナ状態になります。
約12時間後に1230℃になれば終了です。
早朝から始めた作業も、夕方になり、日中の暑さは落ち着き始めていました。
ここで火を切るのですが、このあとゆっくり冷ましていかなければいけません。
早く開けて見てみたい気持ちを抑えながら、冷めるまで約1日待ちます。
焼き上がった作品との対面は次回のお楽しみということでこの日は帰宅しました。
とても長くとても暑い焼成体験でしたが、その過程も、焼き上がりのわくわく感も、陶芸の魅力の一つでもあるんですよね。
なかなか焼成の過程まで体験することは少ないと思いますが、そんな焼成の過程も想像しながらうつわと向き合うと、より奥深さを知ることができるかもしれません。
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