陶器の多くは釉薬がかかっています。
釉薬とは「ゆうやく」と読み、「うわぐすり」とも言われます。
うつわの表面を覆っているガラス質の層で、釉薬によって色やツヤ感などの見た目がずいぶん変わります。
そんな釉薬について、詳しくお伝えします。
【釉薬とは】
釉薬は色や光沢などを出してくれるほか、焼き物の強度を高めたり、吸水性を高めて水や汚れから守ってくれたりといった実用的な役割もあります。
釉薬には長石や石灰、珪石、酸化銅や酸化鉄などの化合物が入っている、どろっとした液体です。
焼く前は灰色や黒色、茶色なのですが、焼くとさまざまな色に変化します。
釉薬は高温で解けてガラス質になるので、素地に釉薬をかけて焼くことによりコーティングされるのです。
釉薬は陶芸用品店でもたくさんの種類のものが販売されていますが、自分で配合を考えて作る人もいます。
釉薬をかけることを施釉といいます。
やきものが出来るまでの工程はこちらをご覧ください。
【釉薬の種類について】
釉薬の種類は無限と言えるほどたくさんあります。
その代表的なものをいくつかご紹介します。
◎透明釉
その名のとおり、透明な釉薬です。
粘土の色がそのまま出ます。
絵付けなどをするときには透明釉をかけることが多いです。
◎織部釉
緑色の釉薬。銅が入っていて銅系釉と言われるものの一つです。
織部という名前は茶人の古田織部からとられていて、美濃焼の一つ、織部焼で使われている釉薬です。
銅系釉はほかに辰砂釉、トルコ釉などがあります。
◎飴釉
飴釉という茶色の釉薬。こちらは鉄が使われている鉄系釉の一つです。
黄色いぎんなんが映えますね。
鉄系釉は他にも黄瀬戸釉や伊羅保釉、天目釉などがあります。
◎瑠璃釉
鮮やかな青の瑠璃釉。コバルト釉と言われます。
青いうつわは意外とお料理に使いやすいです。
【釉薬の楽しみ方】
釉薬の性質によってうつわを使うときの楽しみも増えます。
ぜひ注目してご覧ください。
◎垂れた釉薬を楽しむ
赤土という赤っぽい粘土に白萩釉という釉薬をかけたうつわ。
下の赤みが少し見えていて、白い釉薬の垂れた感じが味になっています。
◎貫入
貫入とは、やきものの表面に出来る小さなヒビのような模様で、これも釉薬の味わいの一つです。
この貫入は土の部分とガラスコーティングの釉薬の部分の膨張率の差で起こります。
使用していくうちにしだいに貫入が色づいて経年変化を楽しめるのもやきものの魅力の一つではありますが、避けたい方は対策をとるといいかもしれません。
温度差が大きいと貫入が入りやすくなるので、熱いものを入れるときは、ぬるま湯に浸けるなど、温度差を緩やかにすることで防げます。
ちなみに、はじめから墨で貫入の色をはっきりつけているような作品もあります。
陶芸教室や陶芸体験では、いろいろな釉薬を選べるところもあります。
toukito主催のイベントでも6~10種類くらいの釉薬を用意しています。
自分の作品の釉薬をかけることができる体験もありますので、ぜひチャレンジしてみてください。
釉薬にも拘って作ると、より幅広く作品作りを楽しめますよ。
いろいろな釉薬のうつわを作って、使って、その奥深さを感じてみてください。
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