白いうつわのなかでも人気の粉引。
独特の白さのあたたかさや柔らかさがあり、インスタグラムなどでも注目されています。
粉引ってどんなもの?
粉引を使う時の注意点は?
知っておきたい粉引について詳しくお伝えします。
【粉引とは】 |
粉引はこひきと読みます。
「粉を引いたように白い」というのがその名前の由来で、もともと茶色の陶器を白く見せるために生まれた技法です。
色のついた粘土しかなかった日本で、白いものに憧れた職人が何とか白いものを作ろうと、上に白い化粧土をかけたという経緯があるのだとか。
粉引とは、素地の上に白い泥状の化粧土をかけて、さらにその上から透明釉をかけて焼いたもの。
つまり、陶土(素地)の上に白化粧の層があり、その上からガラス質の釉薬がかかっているという構造です。
通常の陶器の構造(素地+釉薬)よりも白化粧の層が多くなっている(素地+白化粧+釉薬)ということになります。
(釉薬についてはこちらをご覧ください)
素朴な印象の粉引ですが、少し灰色に近いような独特の白さが奥深さやあたたかみを感じさせます。
どのような色の料理でも合わせやすく、また和食だけでなく洋食などにも違和感なく使えます。
ぜひさまざまなお料理に使ってみてください。
【粉引の注意点】 |
白化粧の層があるために、強度は他の陶器よりも弱くなります。
丁寧に扱っていただければと思います。
また、粉引は水がしみこみやすい特徴があります。
水につけると水じみが斑点になることがあります。
乾くと消えることがほとんどですが、色のあるお料理などを入れると汚れや匂いもつきやすいので、特に色の濃いものを盛り付ける時などは使う前にしばらく水につけておくとよいかもしれません。
さらに使ったあともすぐに洗い、食器棚に戻す前によく乾燥させるようにしましょう。
使い続けていると、少しずつ風合いが変わってくることもありますが、それも粉引の魅力の一つと考えていただければと思います。
→参考、手入れの方法
【しのぎとは】 |
粉引のうつわはしのぎがよく映えます。
しのぎとは「しのぎを削る」の言葉にあるしのぎのこと。
刀の刃と峰の間の高くなった部分をつないだ稜線からきている言葉です。
陶芸の「しのぎ」は、陶土を成形したあとに彫刻刀のようなへらなどで削ってつけた稜線模様のことを指します。
粉引のしのぎは、しのぎ模様によって粉引の白化粧に濃淡が生まれ、より味わい深い印象になります。
しのぎによって化粧土の白さが濃くなったり、薄くなったり、素地の色が少し見えているのが美しいですね。
一つ一つ作り手が削っている模様は、ぬくもりを感じます。
ちょっと変わった模様のしのぎ。
斜めに入ったしのぎがモダンな印象を与えます。
粉引は独特の白さを出すためにひと手間かけられています。
水に浸すとうつわが水を飲むように吸水したり、使っていくと少しずつ年を重ねるように変化が出てきたり、まるで
生きもののようだなと感じます。
通常の陶器以上に少し手入れには気を遣う必要がありますが、長く大切に使って粉引ならではの良さを味わっていきたいものですね。
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